開店10周年。趣味を仕事にする難しさ。

この9月4日で開店10周年を迎えることができました。これもひとえにいつも来てくださるお客さん方や生産者の方々&店を手伝ってくれてるバイトの方々みなさまのおかげです。
さっき軽く概算してみたら開店からのべ人数で30万人くらいのお客さんにカレー食べてもらった計算になりました。すげー。店開く前のサラリーマン時代に毎日帰宅後一人でカレー試作して一人で食べてた頃や開店当初の閑散っぷりを思うとずいぶん遠くまで来たなあと実感します。本当にありがとうございます。

ここのところ最近毎年書いてますが世間一般どこも飲食店は厳しいです。カレー屋も競争が激しいですね。先々月のポパイのカレー特集号みてたら新しい店だけでもめちゃくちゃ増えてました。知らない店ばっかり。またうちの近所新宿界隈に限っても今年冬有名なスパイスカレー屋さんの別業態カレー店FCが開店してました。当初かなりびびりましたが2ヶ月もちませんでした。二度びっくりです。新宿御苑界隈はほんとに飲食店が続かないですね。そんな環境の中10年続けられたのはありがたいことです。
もうちょっといい店になるよう、もうちょっと長く続けられるようにだらだらと動いていこうと思ってます。

しかし最近痛感するのが表題にも書いた、趣味を仕事にする難しさです。
趣味を仕事にするというのは世間一般的には非常に羨ましがられることだと思いますが、やってる本人的にはある意味非常にさみしいことでもあります。昔は純粋に好きでやってたことだったのが仕事としてやってるうちにどうしてもビジネス視点が入ってしまって純粋にものが楽しめなくなってしまうんです。
振り返ってみると学生の頃はカレー屋行ってカレー食ってああうまかったまた行こう自分でもカレー作れるようになりたいなあくらいしか思わなかったのですが、最近ではカレー屋に限らず飲食店に行った時は無意識のうちに、立地見て人の流れ見てファサード見て店員さんの服装や応対見て椅子やテーブルの数数えて音楽や店内の香り感じてメニュー見て客単価予想して店内の客層見てお客さんがオーダーしてるもの見てキッチンの中の設備やモノの配置を見て厨房の人の動き方見てカレー出てくるまでの時間見てカレーの見た目お皿の使い方シルバー見てからやっとカレー味わって作り方や材料や原価推理して、食べ終わるくらいに全席埋まってて新しいお客さんが来たら店の人に悪いから速攻かきこんで立ってレジの機械やレジ周りの備品見てショップカード見て店出てからモノの配置やメニューから店の意図を考えたりいいところ悪いところのうち自分の店に真似できるところと反面教師として覚えておきたいところ等考えたり予想できる客数と客単価と営業時間から経営状態予想したり食後の感じを胃と会話して。。。が全部無意識のうちにできてしまいます。うちのお嫁様とレストランに行くとよく「スパイの目になってる」なんて言われる始末です。

また趣味も長くやってるとどうしても新鮮な発見がなくなってきます。開店からだと10年ですがスパイスカレーにハマってからで考えると20年以上経ちました。ここまでくると新たな発見とか新たな味に出会う驚き、というのは少なくなってきました。学生の頃札幌で出会ったスパイスカレーに対する新鮮な気持ちをキープするのが難しいです。さみしいですね。さみしいので最近は強引にカレー以外の外食に行ってみたり街をうろついてみたり見知らぬところへ旅行して見知らぬスパイス料理たべたり街や建物のデザインみたりしながら強引に発見しています。強引だなあ。
個人経営のカレー屋ってちょっとばかしアーティスティックな側面もあって、創作とか遊び心が重要だなと思うのです。料理的にも店の内外装の作り方的にも。業種的に結実するのはかなり長い時間がかかりますが絶えず新しい刺激と創造、そしてなによりモチベーションの維持が必要かと思います。それを続けていくのがねえ。。。大変です。
昔スキーのイントラでお世話になった職長さんも、スキースクールの運営から足を洗った後リフトでぼそっと「ずっとつまんねえスキーしてたなあ」なんて言ってました。趣味を仕事にした苦しみという点で同じことかと思います。

今年はもうちょっと純粋に、単純に、あんまり考えずにカレーを楽しんでいきたいなあと思っています。

周りからは10周年なので「なんかやるんですか」とか「記念品でも出すんですか」「バイトに音楽や演劇や絵やカメラやらやってる人たくさんいるからフェスでもやりましょう」とか言われますが、10年だしすこしは自分の気分のままにわがままにしてもいいかなと思うので逆に今年は特に何もしません。めんどくさいしだるいです。普段通りでいいです。商売っ気と自己顕示欲が薄いダメ人間ダメカレー屋ですいません。

若干お疲れ気味で変な文章書いちゃいましたがこれからもご贔屓のほどよろしくお願いします。